画像診断は必ずしもあてにならない
整形外科に行くと決まって行う画像診断(レントゲンやMRI)だけでは、整形外科の痛みやシビレを正確に診断できません。
腰痛、手や足のシビレ、肩こり、膝・股関節痛等に対し、整形外科では画像診断(レントゲンやMRI)で写る「異常」から、脊柱管狭窄症、ヘルニア、すべり症、変形性股関節症、膝関節症等と診断をします。
この場合の「異常」とは「神経の通り道が狭くなっている」「ヘルニアが飛び出して神経を圧迫している」「軟骨が擦り減って関節が変形している」といったものです。写真を見ながら医師から説明を受ければ、患者さんも「異常」が原因だと考えるでしょう。しかし、レントゲンやMRIに写る「異常」と患者さんの症状は一致しないことが多く、症状と「異常」は関係がないことが多いのです。
例えば
- 痛みやシビレは強くても、レントゲンやMRIを撮ると異常がない。
- ヘルニアや脊柱管の狭窄があっても痛みやシビレがない。
- 変形性膝・股関節症で左右を比べると変形が少ない方の痛みが強い。
- 手術で「異常」といわれた部分を正常に治療しても、手術後しばらくして以前と同じ症状を訴える。
このような患者さんは意外にも多いのです。
多くの方は画像診断で写る「異常」を原因と考え、それを治せば症状を完治出来るだろうと考えます。なかには手術を受ける方もいます。しかし、手術で「異常」を取り除いても、痛みやシビレが治らない方がたくさんいます。これは、レントゲンやMRIで「狭窄」「ヘルニア」「スベリ」「変形」等の「異常」が写ったが、それは痛みやシビレの原因ではなかったためと考えられます。写真に「異常」は写るため、実際には「異常」があるのでしょう。しかし、それが痛みやシビレの症状の原因か?というと、実はそうでないことが多いのです。
そのため、レントゲンやMRIに写る「異常」は、痛みやシビレの原因ではないため、治す必要がないことが多いのです。
手術をしても良くならなかった方は、「異常」は痛みやシビレの原因ではないために良くならなかった可能性が高いのです。
このようなことから、「整形外科の痛みやシビレについては画像診断があてにならない事が多い」とわかってきました。
特に腰痛については整形外科の教科書にも
「成人の脊椎単純X線像では、退行変性による形態異常は必ずといっていいほど認められる。近年の画像所見と症状に関する科学的研究により、レントゲンやMRIなどの画像検査でみられる退行変性の所見は、必ずしも痛みの原因と結びつけられない事がわかってきた」
と記載されています。(MOOK整形外科プライマリP 30抜粋)
これは、「例えば、腰痛でレントゲンやMRIを撮り、変形性の腰椎症が見つかっても、痛い部位がたまたま変形していただけという可能性が高く、痛みの原因が腰椎の変形だと安易に決めつけてはいけない」という事です。
このように、画像診断を主とした今までの診断方法では、多くの場合、患者さんの痛みやシビレの原因を正確に診断できない事がわかってきました。ベテランの医師であれば、画像に写る「異常」と症状が一致しないことはすでに知っています。しかし、現在の整形外科は画像診断以外に決定的な診断方法を持っていません。あてにならないとわかり始めているのにもかかわらず、画像診断に頼らざるを得ないのが現状です。
痛みの原因を正確に特定できないため「腰痛の85%は原因不明だ」と言う大学教授もい
ます。
これは腰痛に限った事ではありません。手足のシビレ、肩こり、膝痛、股関節痛等の整形外科的な痛みやシビレ等の症状全てにあてはまります。
AKA-博田法で痛みの正しい診断を
AKA-博田法の開発により整形外科の痛みやシビレの根本原因が分かると同時に、画像診断の矛盾が解決しました。
AKA-博田法は術者の手によりミリ単位で関節を動かし機能障害を治療する治療法です。その最大の特徴は痛みやシビレの治療と同時に本当の原因は何か?見極め(診断)が可能なことです。
AKA-博田法で痛みやシビレでお困りの方を治療・再診断した結果、その原因は以下の通りです。
- ①画像上の「異常」とは関係なく関節の機能障害が原因であった(全体の約85%)。
- ②神経障害や骨の変形等の画像上に写った変化(異常)が本当に原因であった。(約10%)。
- ③精神科的な疾患、腫瘍、膠原病等、その他が原因であった。
つまり、整形外科の痛みやシビレの多くはレントゲンやMRIに写る「異常」が原因ではなく、関節機能障害が本当の原因です。
原因でないところを治療しても良くならないのは当然です。正しい治療は正しい診断があってこそ成立します。
しかし、関節機能障害はAKA-博田法を知らないと診断・治療が出来ません。レントゲンやMRIで写るのは静止画像のため、肝心の関節の「動き」は写りません。このため、画像診断だけでは不十分です。
整形外科の痛みや痺れ等の症状は画像診断だけでなくAKA-博田法を行って総合的に診断する必要があります。もし、多くの医師が画像診断だけでなくAKA-博田法に熟練し、診断・治療が出来るようになれば「腰痛の85%が原因不明」「手術したのに良くならなかった」といった現状も改善されてくるでしょう。
2011年11月16日放送「ためしてガッテン・驚異の回復!腰の痛み」について
11月16日にNHKで放送された『ためしてガッテン・驚異の回復!腰の痛み』をご覧頂いた方も多いでしょう。この番組の中で
『手術が必要と言われる程ヘルニアが出ていても全く痛くない』
『手術でヘルニアを切り取っても痛みやシビレが良くならない』という例を挙げ
「腰痛の原因はヘルニアではない」と説明していました。
番組内ではヘルニアのみでしたが、実際には脊柱管の狭窄・腰椎のスベリ・膝や股関節の変形や軟骨のすり減り等も同様に痛みの原因ではないことが多いのです。
番組ではこのことは最近分かってきたと述べていましたが、当院では30年前からこの様に考え、手術をすることなくAKA-博田法で治療してきました。
また番組内では、腰痛の85%を占める原因不明のものはストレスが大きく関与していると結論付けていました。関節機能障害という概念を知らないと、他に思い当たる原因がないため、ストレスが原因と考えるしかないのです。しかし、腰痛の85%を占める原因不明とされるものの多くは仙腸関節の機能障害が本当の原因です。それを診断・治療できるものはAKA-博田法以外には他にありません。つまり、AKA-博田法をすることで初めて痛みの本当の原因が分かるのです。