坐骨神経痛 一般論
坐骨神経痛とは、「症状」の表現であり、病名ではありません。「坐骨神経痛」の名前が示すとおり坐骨神経が圧迫されることによって生じる「神経痛」を総称して坐骨神経痛と言います。
坐骨神経とは腰椎4番目・5番目の神経と仙骨の前面から出て梨状筋の下を通り、大腿後面中央を下行、膝の裏で総腓骨神経と脛骨神経に分かれ下肢~足裏に走行する、人体の中で最も大きい神経です。 坐骨神経痛は、この坐骨神経が圧迫などの障害を受けた為、腰・臀部~下肢にシビレや疼痛を発症するものと言えます。
多くは腰椎椎間板ヘルニアが原因と言われていますが原因は様々です。他には、脊柱管狭窄症、脊椎分離症、脊椎すべり症などが坐骨神経痛を引き起こす原因としてあげられます。
望クリニックでの考え方
当院は坐骨神経痛のほとんどが仙腸関節を主とした関節の機能障害が原因だと考えています。
でん部から下肢に至る痛みやシビレが起きると、その原因を調べに整形外科にかかると思います。多くの病院では最初にレントゲン検査やMRI等の検査を行います。検査の結果、腰部椎間板ヘルニアやすべり症、変形性腰椎症等の異常があれば「あなたの痛みやしびれの原因は○○です」と言えるのですが、画像上異常がなく原因がわからない場合が多々あります。
しかし患者さんを前にしてわかりませんでは格好がつきませんので、医師は痛みがちょうど坐骨神経のある場所なので「あなたの痛みは坐骨神経痛ですね」と、とりあえず取り繕うかのように言います。しかし、上記の整形外科一般論にもあるように、坐骨神経痛は症状の事であり病名ではありません。ですから「あなたは坐骨神経痛です」という事は、腰痛の患者さんに「あなたは坐骨神経に沿った痛みがあるのですね」と言っているに過ぎません。坐骨神経痛と病院で言われた方は全員が診断されていないと言っても過言ではありません。
何故、このような事が起きてしまうのでしょうか。現在の整形外科には関節の機能障害という概念がまだまだ浸透していません。坐骨神経痛などの症状の原因を診断するのに最良の方法である
AKA-博田法を十分に行える医師が少ない為に、多くの痛みの原因を診断することが出来ません。
当院で坐骨神経痛と他の病院で言われて来院された患者さんにAKA-博田法を行った所、ほとんど8-9割程が仙腸関節の機能障害が原因でした。残る1-2割は精神科的な原因やヘルニア等で神経が直接障害されていました。これらの事実から坐骨神経痛と言われた方のほとんどは仙腸関節を主とした関節の機能障害が原因と言えます。仙腸関節が原因の痛みはレントゲンやMRI等の画像診断ではわかりません。AKA-博田法によってのみ診断できるものです。
もし坐骨神経痛と言われ、なかなか治らないしつこい痛みやシビレに悩まれておられるのでしたら、是非AKA-博田法の受診をお勧めします。
望クリニック 症例
実際に治療を受けた患者さんの症例
S14年 女性
患者さんからの来院時までの経過
特に心当たりとなる様な発症のきっかけはないが、8年前から左下肢の後ろ側にシビレと痛みが出現。近くの整形外科でレントゲンを撮影した所、坐骨神経痛と言われ鎮痛薬とリハビリで牽引による治療を行う。しかし痛みとシビレは徐々にひどくなっていった。接骨院やカイロ等様々な治療も試したがなかなかよくならない。最近は歩き始めるとすぐに痛みが出始め歩くこともままならない為、平成21年に当院に受診。
他院での診断 | 坐骨神経痛 |
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他院での治療 | 鎮痛薬、牽引等のリハビリ等。 |
来院時の症状 | 5分ほどの歩行で左のでん部から下肢の後ろ側に痛みとシビレが出現して、その内に歩けなくなる。痛みとしびれは温めると楽になるが冷えると辛くなる。また左肩甲骨付近がいつもこっていて辛い。足の力が入らない等の明らかな神経の障害はなかった。 |
来院後の経過、患者さんの自覚症状の経過
AKA-博田法初回 | 足の痛みとシビレはなんとなく楽ですがまだちょっとわかりません。肩こりはとても楽になりました」 |
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3回目 | 「肩こりはずいぶ楽です。ふくろはぎの所は痛みもしびれも楽になったものの、まだ残っています。初めの半分位は痛みもシビレも取れています。」 |
5回目 | 「大分楽ですね。歩いても痛みやしびれがでにくくなってきました。でも無理をするとまだ少し出ますね」 |
その後 | AKA-博田法をその後も続け、治療から4カ月後には症状なくなった為、一旦治療終了。その後、今のところ再発はない。 (治療終了から平成22年5月時点で約半年経過) |
望クリニックでの診断
仙腸関節を主とした関節の機能障害
考察
この患者さんはAKA-博田法により坐骨神経痛の治癒しました。つまりこの方の坐骨神経痛の原因は仙腸関節を主とした関節の機能障害が原因であったと考えられます。
また、坐骨神経痛と同様に左の肩甲骨付近の肩こりもAKA-博田法で改善した事により、肩こりも仙腸関節等の関節の機能障害が関係していたと考えられます。
この患者さんは、関節の機能障害について熟知している医師に出会えず、AKA-博田法を受ける事ができなかった為、8年間も坐骨神経痛で苦しむ事になってしまいました。現在悩まれている方は早めの受診をお勧めします。