スポーツによる腰痛
一般的にスポーツにおける腰痛は過負荷によるものが多いとされています。骨盤は運動の要です。その為、スポーツはどの競技も骨盤にある仙腸関節に過大な負荷がかかり、仙腸関節の機能異常を引き起こしてしまっている事が多いようです。
仙腸関節の機能異常は体中の至る所で筋肉の異常な収縮を引き起こし、その異常な収縮を痛みや痺れとして感じます。(AKA-博田法とは参照)この筋肉の異常な収縮は、特に負担がかかっている場所に出やすく、スポーツによる負担が腰に強ければ腰に、膝に強ければ膝に、という具合に体の様々な部分の筋肉の異常な収縮を引き起こし、痛みやしびれを起こしてしまいます。
従来、スポーツの痛みに対してはマッサージやストレッチのような治療が主流でした。スポーツにおける腰痛は関節の機能異常による腰部周辺筋肉の異常な収縮を痛みとして感じているわけですからマッサージやストレッチを行えば筋肉の異常な収縮が和らぎ一時的に楽にはなります。しかし、筋肉のハリ等の異常な収縮だけを治療しても痛みの根本原因が仙腸関節等の関節機能異常が原因であれば残ったままなので再発しやすく、長い目で見ると徐々に悪くなっていく事が多いようです。
そのため、スポーツにおける腰痛は仙腸関節の機能異常を治療する事が必須になってきます。その点でAKA-博田法は最良の保存療法だと言えると思います。
スポーツによる腰痛にAKA-博田法を行うと、ほとんどの方は速やかに改善します。しかし、一部のプロスポーツ選手等、かなり仙腸関節にかかる負担が大きく炎症が強い場合は一定期間休養を取り、仙腸関節を休ませる必要がある事もあります。治療後は、スポーツを続けていく場合、必ず仙腸関節の機能異常が再発してきますので定期的に(約1カ月に1回程度)AKA-博田法を行い予防していく事が必要です。
また中高生等未成年のスポーツによる腰痛は、特にAKA-博田法への反応がよく、当院での経験では、ほとんどの方が数回のAKA治療で治癒される事が多いようです。
望クリニックでの考え方
実際に治療を受けた患者さんの症例
S15年 男性
患者さんからの来院までの経過
趣味で若いころから月に1,2回程度ゴルフをしていた。H15年にゴルフの打ちっぱなしに行った際に腰痛出現。近くの整形外科に受診し椎間板ヘルニアと診断され鎮痛薬、湿布を処方されしばらくゴルフは休むように言われた。ゴルフを休み安静にした所、痛みは楽になったがゴルフを再開した所、再度腰痛出現。それからは慢性的な腰痛になってしまった。徐々に腰痛は酷くなり、趣味のゴルフはほとんどできない状態になってしまった。
他院での診断 | 腰椎椎間板ヘルニア |
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他院での治療 | 安静、鎮痛薬等の薬物療法 |
来院時の症状 | 右腰部から下肢にかけての痛みと下肢の痺れ 安静時、痛みはそれほどでもない。歩き始めると痛み増悪。ゴルフのラウンドは1ホールもできない状態。(下図参照) |
来院後の経過、患者さんの自覚症状の経過
AKA-博田法初回 | 腰の痛みが軽くなった感じがします。 |
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3回目 | 歩いても辛くなくなった気がします。痺れも楽になってきました。 |
5回目 | 日常生活では困る事はないですね。ゴルフを始めてもいいでしょうか。 |
現在 | その後、ゴルフを再開し、半年後には18ホールラウンドできるようになった。1カ月に1回AKA-博田法を行う事で趣味のゴルフは問題なく続けられている。 |
望クリニックでの診断
仙腸関節の機能異常
考察
AKA-博田法で症状の改善がみられた事より腰痛の根本原因は仙腸関節の機能異常が原因であったと考えられます。ゴルフは中腰で腰を大きく捻るスウィングをしますので、どうしても仙腸関節が引っ掛かってしまう事が多いスポーツです。仙腸関節の機能異常は、体で特に負担がかかっている部分の筋肉の異常な収縮をひきおこし、痛みや痺れを引き起こします。この症例の場合は腰だったようです。AKA-博田法でほとんど完治したのですが本人が趣味であるゴルフを続けたいとのことでしたのでAKA-博田法を定期的に行いゴルフで起こる仙腸関節の機能異常を治療しています。
H4年 女性
患者さんからの来院までの経過
高校の部活動でバレーボールをしている。平成21年の7月頃から腰痛と左下肢のしびれが出現し近くの整形外科に受診。腰椎椎間板ヘルニアと言われリハビリの為に通うように言われた。その後、リハビリを続けていたが徐々に痛みとしびれが強くなり部活動もできなくなってしまった。
何か良い治療法はないかと思い、知人の紹介で当院に平成21年8月に受診。
他院での診断 | 腰椎椎間板ヘルニア |
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他院での治療 | リハビリ。詳細不明だがマッサージや温熱治療をしていたとの事マッサージを行うと一時的に楽にはなるが運動するとすぐに再発してしまう。 |
来院時の症状 | 腰痛と左下肢の痺れ バレーボールを1日3時間程度している。疲れてくると徐々に痛みが強くなる。 左下肢のしびれは安静時ないが疲れてくると出てくる。 (下図参照) |
来院後の経過、患者さんの自覚症状の経過
AKA-博田法初回 | 腰を後ろにそらせなかったのがそらせるようになりました。 |
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2回目 | 腰痛、半分くらいになりました。しびれはなくなりました。 |
3回目 | まだバレーをすると少しでますが痛みが強くなる事はありません。 |
5回目 | 部活動で合宿に行っても腰痛はほとんど出ませんでした。 |
現在 | 腰痛、左下肢のしびれはほとんどなく状態落ち着いていた為、本人と相談し日常生活の指導を行い、一旦治療終了とした (平成21年10月)。 |
考察
AKA博田法に反応し、治癒された事より仙腸関節の機能異常が腰痛と左下肢のしびれの原因であったと考えられます。この患者さんはAKAを行う前にマッサージをしていました。マッサージで一時的に腰痛は楽になるものの根本原因である関節機能異常は残存していた為、スポーツをするとすぐに再発をしてしまう状態でしたがAKA-博田法で根本原因である関節の機能異常を治療していくことで腰痛、左下肢痛は改善していきスポーツで再発することも徐々になくなっていきました。
このように、スポーツによる腰痛等の痛みやしびれは、根本原因である関節機能異常の治療を行う事が有用であると当院は考えております。