仙腸関節の評価は当院では、前屈、後屈、SLR、ファダーフ、ファベーレ等の試験を行う事と、AKA-博田法で直接仙腸関節の触診をする事で行います。
- 【検査の様子】
- ① SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)
- ② ファダーフテスト
- ③ ファベーレテスト
よくある質問で、レントゲンやMRI等の画像検査で仙腸関節の関節機能障害を診断する事ができますか?と言われることがあります。残念ながら、2018年2月の段階では、画像検査で仙腸関節の関節機能障害は診断できません。おそらく、今後もなかなか難しいのではないかと思っております。
何故かというと、レントゲンもMRIも静止画だからです。仙腸関節の関節機能障害は、関節包内運動の障害です。すなわちきちんと仙腸関節が動いているか、動いていないかの評価は静止画では判断できないのです。
この事が、画像診断偏重である現代医療において、仙腸関節の関節機能障害を見逃がされてしまう大きな原因となり、腰痛難民がうまれてしまう大きな原因となっております。
例えば、
- 整形外科でレントゲンやMRIを行って痛みの原因が不明の場合は、仙腸関節機能障害が見逃されているだけかもしません。
- 整形外科でMRIで腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症等と画像上の異常所見を指摘されても、仙腸関節について評価していなければ、痛みの原因は画像上の異常であるヘルニアや腰部脊柱管狭窄症なのか、それとも仙腸関節の関節機能障害なのかの判断はできません。
- 痛みの原因として、仙腸関節の評価をしないまま、ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の手術をしても、痛みの原因が仙腸関節の関節機能障害であったなら、ヘルニアや狭窄症を治しても痛みは残ってしまう事になります。
- 仙腸関節が痛みの原因であった場合、従来推奨されている、腹筋、背筋などの筋力トレーニングやストレッチ、腰痛体操も逆効果の場合もあります。なぜなら、多くの筋トレや体操は、仙腸関節の関節機能障害という概念を考慮していないからです。
仙腸関節の評価をきちんと行う事が、特になかなかよくならない整形外科的な運動器の痛みやしびれの診療にとって不可欠であるといえるではないでしょうか。